大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 平成6年(行コ)139号 判決

控訴人(原告) 三浦壽子 外三名

被控訴人(被告) 麻布税務署長

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一控訴の趣旨

一  原判決を取消す。

二  被控訴人が、控訴人らの昭和六三年一一月七日相続開始に係る相続税について、いずれも平成四年二月一三日付けでした原判決別紙一「本件課税処分等の経緯」〈8〉欄記載の各更正(以下「本件各更正」という。)のうち、課税価格及び相続税額について同表〈2〉欄記載の各更正の請求を超える部分及び同表〈8〉欄記載の各過少申告加算税賦課決定(以下「本件各賦課決定」といい、これに本件各更正を合わせて以下「本件各処分」という。)をいずれも取り消す。

三  訴訟費用は、第一、第二審とも被控訴人の負担とする。

第二事案の概要

原判決一〇枚目裏五行目の次に「当該土地につき、単に信託契約が締結されたのみでは当該土地が事業の用に供されたということにはならない。」を加えるほかは、原判決の事実及び理由の「第二 事案の概要」欄に記載のとおりであるから、これを引用する。

第三争点に対する判断

次のように付加、訂正するほかは、原判決の事実及び理由の「第三 争点に対する判断」欄に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決一二枚目表二、三行目の「甲一七号証の一、二」を「甲一五号証、一七号証の一ないし四の各一、二、二三号証」に改め、同一二枚目裏三行目の次に「(乙一〇号証)」を加える。

二  同一六枚目表七行目から同一一行目までを次のように改める。

「右によると、信託契約により委託者が受託者に財産の管理、運用、処分等を委ねることそれ自体によっては、それが一定の事業の用に供する目的でされたとしても、当該財産が本件特例にいう事業の用に供されることになるものではなく(もっとも、受託者が、信託を受けることを事業とすることができることはいうまでもない。)、受託者が、当該財産(信託財産)を事業の用に供して初めて、本件特例にいう事業用財産になるのであり、したがって、本件特例の適用があるか否かは、受託者によって、当該財産が、相続開始の直前において、現実に事業の用に供されているか否かによって判断すべきものである。」

三  同裏一行目の「三菱信託」の前に「受託者である」を加える。

第四結論

よって、これと同旨の原判決は相当であるから、本件控訴を棄却し、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 鈴木康之 三代川俊一郎 伊藤茂夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例